強迫症・強迫性障害

 

強迫症・強迫性障害とは

強迫性障害(OCD:Obsessive Compulsive Disorder)とは、自分でも些細なことだとわかっていても、そのことが頭から離れず、何度も同じ確認を繰り返すなど、日常生活に支障をきたす病気です。
 
意志に反して頭に浮かんでしまって払いのけられない考えを強迫観念、ある行為をしないでいられないことを強迫行為といいます。
例えば、トイレ後に不潔に感じ執拗に手を洗う、外出前に戸締りやガス栓を何度も確認せずにはいられないなどがあります。
 
男女で発症率の違いは見られませんが、成人では若干女性の方が高くなり、児童・青年期では男性の方が割合が高くなります。
 
強迫性障害には、自分自身が手洗いや確認作業を繰り返す「自己完結型」と、家族に頻繁な戸締りの確認などを要求する「他者巻き込み型」があります。
単なるきれい好きや他の精神疾患との違いは、「本当はここまでする必要がないのに」と本人が理解していながらやめられないという点です。
日常生活に支障をきたす場合は、治療の対象となります。
 
こころの病気であることに気づかない方も多いのですが、治療によって改善する病気です。「○○せずにはいられない」「考えずにはいられない」ことで、つらくなっていたり不便を感じたりするときには、ぜひご相談ください。
 

強迫性障害の症状

強迫観念

強迫観念とは、「不合理だ」とわかっていても頭から離れない考えのことを言います。
 

強迫行為

強迫観念に駆り立てらてた不安で行う行為のことを言います。自分で「無意味」「やりすぎ」とわかっていてもやめることができません。

こんなお悩みはありませんか?

  • 不潔恐怖と洗浄・・・汚れや細菌汚染の恐怖から過剰な手洗い、入浴、洗濯を繰り返す、ドアノブや手すりなどが不潔だと感じて触れないなど
  •  加害恐怖・・・実際にそうではないと分かっているのに誰かに危害を加えたかもしれないという考えにとらわれて、新聞やテレビに事件・事故(ひき逃げなど)として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に直接確認したりするなど
  •  確認行為・・・戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認する(何度も確認する、じっと見張る、指差し確認する、手で触って確認するなど)
  •  儀式行為・・・自分の決めた手順で物事を行なわないと恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をする
  •  数字へのこだわり・・・不吉な数字・幸運な数字に縁起を担ぐというレベルを超えてこだわる
  •  物の配置、対称性などへのこだわり・・・物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になる

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因や発症に関わる要因は特定されていません。
しかし対人関係や仕事上のストレス、妊娠や出産などのライフイベントが発症のきっかけとなっている傾向があります。
 
これらストレス状況と個人の性格(規則や手順、形式にこだわり、融通がきかない状態)や心理的要因との相互作用により、発症に至るものと考えられています。

初診の流れ

 

  1. 予約(ご予約はお電話でお願いいたします。)
  2. 血液検査
  3. 心電図検査
  4. 頭部CT検査
  5. 診察
  6. 会計
  7. 処方

 

※診療の混雑状況により、問診や検査に時間がかかる場合や待合室でお待たせする時間が長くなる場合もございます。
※心療内科初診の方は、皆様一律で初診時検査をお願いしております。
※検査内容は順番が前後する場合があります。

強迫性障害の治療

認知行動療法

代表的な治療法は、再発予防効果が高い「曝露反応妨害法」です。
患者様が強迫観念による不安に立ち向かい、やらずにはいられなかった強迫行為をしないで我慢するという行動療法です。

例えば、汚いと思うものをさわって手を洗わないで我慢する、留守宅が心配でも鍵をかけて外出し、施錠を確認するために戻らないで我慢する、などです。
こうした課題を続けていくと、強い不安が弱くなっていき、やがて強迫行為をしなくても済むようになると期待されます。
 

薬物治療

患者さんの多くは、強迫症状や抑うつ、強い不安感があるので、まず抗うつ薬のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で状態を安定させてから、認知行動療法に入るのが一般的です。

うつ病よりも高用量で、長期間の服薬が必要です。
最初は少量から始め、薬との相性を見ながら服薬量を増やしていきます。

Q&A

Q:強迫性障害の症状とはどのようなものですか?

A:強迫性障害は、自分では不合理・無意味と認識していても、自分では制御できない思考・行動が繰り返されて、不安や苦痛が生じてしまいます。
強迫観念とは、頭から離れない考えのことを言います。
手を洗ったばかりなのに「手が汚れている」と、その内容が不合理な事や一般的にあってはならないことや心に受け入れられない事柄であったとしても、頭から追い払う事ができません。これらの考えはきっかけもなく突然に浮かんできてしまうこともあります。
強迫行為とは、「手が汚れている」という強迫観念から手を何度も洗ってしまうことを言います。

Q: 予約は必要ですか?

A:はい、お電話でご予約をお願いいたします。

Q:強迫性障害はどのような人がなりやすいですか?

A:強迫性障害は疫学的には生涯有病率は2~3%と言われています。発症平均年齢は19.5歳で、発症年齢は思春期や若年成人で多いです。
1/4が14歳までに発症しているものの、35歳以上での発症は稀だと考えられています。男女差はありませんが、男性の方が女性よりも発症年齢が若く、男性患者の約25%は10歳以前に発症するといわれているので、子供であっても注意が必要です。26~35歳での発症は女性のほうが多くなっています。

Q:強迫性障害の診断基準について教えてください。

A:①強迫観念・強迫行為、またはその両方の存在、②強迫観念または強迫行為が時間を浪費させる(1日1時間以上かける)、または臨床的に意味のある苦痛、または社会的・職業的・その他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている、といった事が診断基準として挙げられています。

Q:強迫性障害になりやすい性格とは?

A:強迫性障害になりやすい方は、元々几帳面、完璧主義などの性格の人に多い傾向があります。強迫性障害の原因は、長い間、心理・社会的な要因で起こる病気と考えられていましたが、最近は、その背景に脳の機能障害があることがわかってきました。

Q:強迫性障害かもと思ったらどうすれば良いですか?

A:もし、症状に気づいたら受診をしてください。
実は、強迫性障害の様に見える症状の中には、うつ病や統合失調症の初期や、他の病気の可能性もあるので、専門的な診断や検査が必要です。

Q:家族が強迫性障害のようですが、どのように接すれば良いでしょうか?

A:強迫性障害はご家族にも同じように確認を強いて、巻き込んでしまうことがあります。
それを否定されたり、受け入れてもらえない不安から怒りにつながり、症状が重い方では暴力をふるう場合もあります。ご家族としては、その状況を避けるために患者様の主張に応じてしまいがちですが、要求がエスカレートしてご家族が対応できなくなると、やがては怒りを増幅させてしまうという悪循環に至ります。また、患者様と距離をとることができればよいですが、距離をとっても患者様側から近づいてしまう場合もあります。
 
強迫性障害は、患者様自身も『やめられない』という苦悩の中にありますが、患者様の求める要求にこたえ続けることはできないこと、そして患者様が外出できずに困っている場合やご家族に暴力をふるう場合は医療機関への受診が必要なことを患者様自身に理解していただく必要があります。また、強迫性障害では、併存疾患としてうつ病を発症しやすいこともあり、その場合自殺のリスクは高いことが知られています。

Q:予約しないで当日診てもらえますか?

A:申し訳ございませんが、初診の患者様は、お話をじっくり伺いたいため、必ず事前にご予約いただいております。ご予約はお電話でお願いいたします。