統合失調症
統合失調症とは
統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。
統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。
統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなるために、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。
ほかの慢性の病気と同じように長い経過をたどりやすいですが、新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。
統合失調症の症状は大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けることができます。
陽性症状
- 【妄想】実際にはありえないことを信じる
- 【被害妄想】自分が責められている、尾行されている、騙されていると感じる
- 【関係妄想】本や新聞などが自分のことを指していいると信じている
- 【思考奪取】他人が自分の心を読めると感じる
- 【幻覚】実際にないものを感じる。幻聴が最も多く見られる
- 【思考障害】話題がとりとめもなくあちこちに飛ぶ。何を話したいか定かではない
- 【奇異な行動】子供じみた行動、身なりや衛生面が不適切になる
陰性症状
- 【感情鈍麻】表情が乏しくなり、アイコンタクトなども少なくなる
- 【会話の乏しさ】口数が少なくなる、質問に対してそっけない答えを返す
- 【快感消失】以前は楽しめていたことに関心を示さなくなる
- 【非社交性】人間関係に関心を示さなくなる
認知機能障害
- 【記憶力の低下】物事を覚えるのに時間がかかるようになる
- 【注意・集中力の低下】目の前の仕事や勉強に集中したり、考えをまとめたりすることができなくなる
- 【判断力の低下】物事に優先順位をつけてやるべきことを判断したり、計画を立てたりすることができなくなる
こんなお悩みはありませんか?
- どこからともなく聞こえてくる正体不明の声が、自分を責めたり命令してくる
- みんなが自分の悪口を言ったり、嫌がらせをすると感じる
- ささいなことに過敏になり、すぐ興奮するようになった
- 独り笑いや独り言を言うようになった
- 部屋に引きこもり、1日中ぼんやり過ごすようになった
- 人と話すのが苦痛になり、会話するのが億劫になった
- 1つのことに集中したり、とっさの判断ができなくなった
発症から回復までの経過
前兆期
統合失調症の急性期の前段階で、様々な特徴的な症状が出てくる時期です。
焦りや不安感、感覚過敏、集中することが困難になる、やる気がなくなるなどの症状があります。
これらの症状はうつ病や気分障害の症状と似ているため、すぐに統合失調症と診断することができないことがあります。また、不眠・食欲がなくなる、頭痛といった自律神経の症状がみられることも特徴です。
この段階で医療機関にかかる必要があります。
急性期
幻覚や妄想など不思議な体験をするので、自分の中で何かが変だと感じながらも、自分が病気だと思えず、他人から見ておかしな行動をすることがあります。また、周りの出来事に敏感になり、不安や緊張を強く感じたりします。
休息期
感情鈍麻や意欲の低下がみられる時期です。
急性期の統合失調症に特徴的な症状が出てきた後、休息期には無気力になり何もしなくなるなどの陰性症状が中心となります。この時期は不安定な精神状態になり、少しのきっかけで統合失調症の急性期に逆戻りしてしまうこともありますが、焦らないことが重要です。
回復期
周囲からは病気がよくなったように見えますが、患者さんは疲労感や意欲の低下を感じながら、今後の不安や焦りを覚えることがあります。
安定期
少しずつ元気が出てきて心も体も安定してきますので、焦らず、ゆっくりと生活の範囲を広げていきましょう。
また、再発予防のために薬を忘れずに飲むことが大切です。
統合失調症の原因
発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、統合失調症になりやすい要因をいくつかもっている人が、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなり、発症するのではないかと考えられています。
初診の流れ
- 予約(ご予約はお電話でお願いいたします。)
- 血液検査
- 心電図検査
- 頭部CT検査
- 診察
- 会計
- 処方
※診療の混雑状況により、問診や検査に時間がかかる場合や待合室でお待たせする時間が長くなる場合もございます。
※心療内科初診の方は、皆様一律で初診時検査をお願いしております。
※検査内容は順番が前後する場合があります。
統合失調症の治療
治療の目標
- 幻覚や妄想などの症状を軽くする
- 記憶や注意などの障害によって社会生活機能が低下するのを防ぐ
- 回復後は再発しないように維持する
精神療法的アプローチ
病気の自己管理の方法を身につけたり、社会生活機能のレベル低下を防ぐ訓練などを行うもので、精神療法やリハビリテーションが含まれます。就労支援などの社会的サポートも重要です。病状や生活の状態に合わせて、様々な方法が用いられます。
薬物治療
薬物治療には主な症状を抑える抗精神病薬を使用します。
補助的な目的として、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、気分安定薬を使用することもあります。
薬をいつまで続けるかは、個人差があり一概には申し上げられません。
症状の安定をみながら、減量や増量を行い調整していきます。
Q&A
Q:統合失調症とはどのようなものですか?
A:統合失調症は幻聴や妄想(見張られている・後を付けられているといった妄想)など多彩な症状が現れる病気です。
20代前後の比較的若い時期に発病することが多く、高齢になってから発症するケースは比較的少なくなっています。症状は急に現れることもあれば、時間をかけてゆっくりとあらわれることもあります。
Q: 予約は必要ですか?
A:はい、お電話でご予約をお願いいたします。
Q:確かに見えたり聞こえたりしているのに周りの人が否定します。病気でしょうか?
A:統合失調症で多く現れる症状は幻覚や妄想です。幻覚とは実際にはないものが感覚として感じられることです。とてもはっきりと聞こえたり見えたりするために、脳の中だけで起きているとは考えにくいものです。
妄想とは、明らかに間違った内容を信じてしまい、周りの人たちが訂正しようとしても自分では受け入れられない考えのことです。自分には聞こえたり、見えたりするのに、家族や友達、同僚、上司、医師などの周りの人たちが皆「そんなことはない」と否定するときには、幻覚や妄想の可能性があります。
Q:統合失調症は再発するおそれはありますか?
A:場合によっては、再発する可能性はあります
統合失調症は、薬物療法と本人・家族の協力の組み合わせ、再発予防のための治療の継続が大切です。
薬物療法・通院を継続しながら治療を調整していくことで再発率を抑えることはできます。
Q:統合失調症の治療にはどれぐらいの期間がかかりますか?
A:統合失調症は慢性疾患の1つであり、治療期間が時には数十年にもおよぶこともありますが、きちんと治療をしていけば、社会生活を続けていくことができる疾患の一つです。
Q:統合失調症はよくある病気なのですか?
A:日本での統合失調症の患者数は約80万人といわれています。約100人に1人ほどのため、統合失調症は身近な病気といえます。
Q:予約しないで当日診てもらえますか?
A:申し訳ございませんが、初診の患者様は、お話をじっくり伺いたいため、必ず事前にご予約いただいております。ご予約はお電話でお願いいたします。